前回、格安SIMへの移行や動画サブスクの整理など、生活から「固定費」を削ぎ落とす具体的なステップをお伝えしました。
そうして手元に残るようになった大切なお金。 現代において、このお金の最もスマートな行き先として真っ先に挙がることが多いのが、新NISAをはじめとしたインデックス投資です。特に20~30代の世代で。
しかし、SNSの情報によると、将来の自由を焦るあまり、生活費や交際費を限界まで切り詰めて投資に回す、いわゆる「NISA貧乏」と呼ばれる人たちが溢れています。
過去の私も、まさにその一人でした。 今回は、私が交際費や時間を徹底的に削り、「NO」と言いすぎて失敗したリアルな経験から辿り着いた、適度な投資をしつつ、今現在の人生の満足度も最大化するという、一番合理的で美しいお金のバランスについてお話しします。
会社からの脱出を焦り、将来に全振りしていた過去
「今の仕事を早く辞めたい」「会社に縛られない自由な生活を1日でも早く手に入れたい」
NISA貧乏になってしまう人の根底にあるのは、こうした現状からの脱出願望です。会社や労働に縛られたくないからこそ、現在の支出を極限まで切り詰め、20年後、30年後の資産リターンに人生の比重を重めに置いてしまう。環境の後押しや未来への不安も手伝って、その背中は一気に加速します。
当時の私も、お金だけでなく「時間」すらも将来への投資に全振りしたいと考え、友人からの久々の誘いすら断っていた時期がありました。仕事やジム、新しい人たちの出会いに時間を使っていました。
そんなある時、私の人生の転機となる気づきがありました。 当時、ノリが良かった私は会社の先輩に気に入られ、毎週金曜日に大好きなスポーツの話をしながら飲みに行くのが定例になっていました。それが徐々に週に2回、3回と増えていったのです。
ふと、自分の頭の中に違和感が過よぎりました。
「自分は健康になりたくてジムに通っているのに、こんなにお酒を飲んでいて意味があるのだろうか……」
その頃に読んだ本に、「すべてをYESと受け入れていると、他人の軸で人生が決まってしまう。自分の時間を自分で守るために、NOと断る勇気を持とう」という主旨のことが書かれていました。
翌日私は意を決して、緊張しながら「今日はやめておきます」と断ってみました。「相手を傷つけるんじゃないか」「仕事で不利益を被るんじゃないか」と不安でいっぱいでしたが、いざ断ってみると、意外なほどすんなり受け入れられ、人間関係も良好なままでした。
この時私は、「NOと断ることで、自分の人生を自分のコントロール下に置くことができる」という、強烈な成功体験を掴んだのです。
「NO」の成功体験に縛られ、大切なものを失いかけた反省
しかし、何事もバランスが命です。 私は「断る成功体験」を掴んでしまったが故に、今度は深く考えずに何でもシャットアウトするようになってしまいました。
何年も連絡をとっていなかった大切な友人が、勇気を出して久々に誘ってくれたときのことです。新幹線や宿泊が必要になるような遠方からの誘いに対して、私は「移動距離もかかるし大変だから」ということを良い言い訳に、大して考えもせず、即答で断ってしまったのです。
その決断自体が100%間違いだったとは思いません。しかし、私の決定的な失敗は、「そこに行くことで得られたはずの、かけがえのない縁やリスペクトへの想像力」が完全に欠落していたことでした。しかも、断り方も冷たい伝え方だったなとも気づきました。
数年後、その彼と再会したとき、私は当時の自分の未熟さを心から謝罪しました。「あの時はこういう思考回路になっていたんだ、ごめん」と。幸いにも彼は本当に性格の良い人物であるため、今でも良好な関係が続いていますが、久々の連絡に込められた相手の勇気に対する敬意を忘れていたことは、今でも深い反省点です。
友人の誘いを断り、お金を投資に回し、仕事やジムで自分を磨く。確かにタスクとしては充実していましたが、心のどこかには常に、割り切れない「虚しさ」がありました。
人は一人では生きられません。自分の人生を「いい人生だった」と振り返るためには、仕事や資産額だけでなく、プライベートで他者と過ごす楽しい時間の充実こそが、私にとっては生きる上で極めて重要な要素なのだと、痛烈に身に沁みたのです。
まとめ:どうせ20〜30年かかるなら、「嫌いじゃない仕事」で今も楽しむ
将来への投資、今現在の充実。 この両者を天秤にかけた時、私は一つのシンプルな事実に突き当たりました。
「どれだけ今の生活をカツカツに切り詰めて投資に回したところで、結局、複利の恩恵を得てまとまった資産になるまでには20年、30年という長い時間がかかる」
どうせそれだけの歳月がかかるのは避けられないのです。 であれば、大嫌いな環境で心を擦り切らし、今を全て犠牲にしながら20年を耐え忍ぶよりも、「嫌いじゃない仕事を続けながら、適度に投資をし、今この瞬間のプライベートも全力で楽しむ」方が、良いのではないか?
そう気づいた私は、自分がやりたい仕事、楽しいと思える環境を目指して思い切って転職をしました。(転職を決意できた大きな理由の1つには、前回記事にした家計の見直しによる生活費の把握があります。)
その結果、今の私の生活の満足度・充実度は人生で間違いなく一番高いです。もちろん大変なこともありますが、その大変さすら心地よい充実感として昇華されています。
お金の断捨離を経てやるべきこと。それは、投資の画面を毎日眺めて一喜一憂する労働型の投資ではありません。
毎月適度な額を新NISAのインデックス投資に回す設定をしたら、あとはその存在すら忘れて完全自動運転で放置する。そして、生まれたお金と時間の全てを、自分の「嫌いじゃない仕事」と「大切な人たちとの最高の今」にも注ぎ込む。
これこそが、未来の備えも今の幸福も、犠牲にしない私なりのライフデザインなのです。


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